金融庁は1日、過剰貸し付けが問題視されている銀行のカードロー

金融庁は1日、過剰貸し付けが問題視されている銀行のカードローンについて、融資実態の把握のため立ち入り検査を月内に始めると発表した。全国銀行協会全銀協)は3月に自主規制策をまとめたが貸出残高は増えており、多重債務者の増加につながらないよう銀行に対応を促す。麻生太郎金融担当相は会見で、「銀行カードローン適正化を推進したい」と話した。

 金融庁は、カードローンの貸出残高が多い銀行などを対象に、▽過剰な貸し付けを防ぐ融資審査体制があるか▽審査を保証会社に依存しすぎていないか▽配慮に欠けた広告宣伝を行っていないか-などを調べる。

http://minkabu.jp/blog/show/823181
http://minkabu.jp/blog/show/823283

 また利用者からも情報を集めるため、1日に専用のホットラインを開設。不適切な広告や勧誘のほか、多額の貸し付けで返済が困難になっている事例などの情報を想定する。金融庁幹部は「銀行に利用者保護、多重債務発生の抑止の観点を徹底させる」と強調した。

 銀行は貸金業者と違い、年収の3分の1超を融資できないという上限を設けた総量規制の適用外で、利用者の年収を問わず融資できる。銀行への総量規制については「詰まっている段階ではない」(麻生氏)が、検査の結果次第では導入を求める声も強まりそうだ。

 日銀のマイナス金利政策などの影響で利ざやが縮小する中、銀行は利益を得やすいカードローンに注力。しかし貸出残高が急増する中、日本弁護士連合会などが利用者への行き過ぎた貸し出しが横行していると指摘し、社会問題となった。

http://minkabu.jp/blog/show/823285
http://minkabu.jp/blog/show/823309

 全銀協は3月に自主規制策をまとめ、各行は融資上限額の引き下げや、広告の自粛などに乗り出した。それでも銀行カードローンの貸出残高は増え、6月末時点で約5兆7000億円と19年ぶりの高水準を記録した。

 金融庁のこれまでの対応は、銀行への聞き取りが中心だった。

 しかし改善がみられない事態を重く見て、立ち入り検査への切り替えを決めた